逆境を自ら選択し世界一貧乏なTOTに
「逆境にはそれ相応の成功の種がある」――これは、私が尊敬するナポレオン・ヒル博士の言葉です。学生時代は野球一筋で生きてきましたが、高校2年生の時に怪我で引退。打ちひしがれた私を救ってくれたのがこの言葉でした。「もっと良くなりたい」と藁にもすがる思いで成功哲学を読み、実践していきました。当時の私の学力は、学年でも最下位レベルの成績でしたが、必死にもがくなかで、当初では考えられなかった推薦での大学合格を勝ち取りました。逆境は自分を成長させてくれる最高のチャンスであり、人生の転換点だ。そう心から思えるようになったのはこの経験からでした。それ以降、何事もとにかく機会を見つけては挑戦し、必死になって一つひとつ乗り越えて来たのです。そんななか、28歳の時に人生最大の逆境と言える、2億円の借金を抱えていた保険代理店の引き継ぎが巡ってきたのです。
保険との出会いは、大学4年生の時です。保険商材を入り口にして事業コンサルタントまで手掛けていた会社に入社しました。心ゆくまで挑戦しようと、当時は朝6時から深夜2時まで働き続ける毎日。そのおかげで学生時代にMDRTの基準を達成し、25歳からはTOTを達成していました。順風満帆に思えたのも束の間で、現在の会社に転職をして2年が経ったころに、億単位の借金があり資金繰りに窮する状態になったのです。当時の代表者が負債を抱え、あらゆるところからお金を借りたり会社のお金を貸したりと状況も掴めない状態になっていました。その中で、引き受けなければ会社は潰れる、そんな状況を周りの経営者に相談すると、「他人が作った借金をなぜ君が背負うのか?」と誰もが反対。熟考の末、それでもここで逃げたら一生後悔すると思い、株式を全株譲受、引き継ぐという選択をしました。しかし、就任後隠れた負債が次々に発覚し、最終的には総額2億円に。どれだけ稼いできてもすべて返済に消えました。「世界一貧乏なTOT」と揶揄されていたほどです。加えて、お前に何ができるんだ、何か隠しているだろと、社員から罵倒されることもしばしば。一体私は何のために頑張っているのかと、葛藤していた時に信頼する方の紹介で出会ったのが、アチーブメントの『頂点への道』講座でした。
成功の「目的」との出会い理念を土台にした組織への変革
「あなたは何のために、誰のために、なぜ成功をするのですか?」初受講で青木社長が投げかけていたこの問いに私は答えられませんでした。目標を達成するための方法や手順は成功哲学でたくさん学んできましたが、何のためにということを考える時間を取れていませんでした。受講をすすめる中で幾度も自問自答し、浮かんできたのは家族やメンバーの顔でした。そして、ご契約をお預かりした大切なお客様をはじめ、縁ある方々の役に立ちたい、幸せにすることが自分の幸せなんだ、という思いに行き着いたのです。保険とはお客様の未来を守る商品です。信頼してくださって、私たちに未来を託してくださっています。であれば、どこよりもお客様をお守りできる会社に成長しようと心に決めたのです。そのために千年存続し続ける企業を目指すと、理想を明確化しました。
理念を伝え、共感する人材で強い組織を作る
この明確化した経営の理想を明文化し、企業理念を打ち立てました。永久にお客様をお守りするためにも「個ではなく組織で働くこと」「プロとして一流の仕事で人々に貢献すること」の二つを大切にし、これを伝え続けてきました。毎週のビデオ朝礼では、企業理念を自分の言葉で社員に伝えるようにし、企業紹介などでも大きく紹介し、社員が営業活動をする際にアウトプットする機会を増やしました。私は28歳で社長になったので、年上の社員が非常に多く、初めはどのように伝えたら良いのかと躊躇していましたが、ここにこそ私たちの仕事の本質があります。私たちでなければならない理由があると確信してからは、迷うことなく力強く伝えていくことができたのです。そうすると、社員とのコミュニケーションも増え、社内の風通しは段々と良くなっていきました。もちろん私の方針に対して賛同しないという社員も現れ、沢山の方が離職していきました。しかし、自社の存在目的、そして目指す先が明文化され、少しずつ社員の理解が深まっていくにつれて、確実に組織としてのパフォーマンスが上がっていったのです。引き継ぎ当初40名だった組織は今では120名にまで成長しています。なにより、理念の「個よりも組織で成し遂げる素晴らしさ」を象徴した「コレクティブ」という言葉が社内のコミュニケーションにも徐々に増えてきており、着実に理念浸透が進んでいるのを感じています。
千年企業を目指して保険を通じて社会課題の解決を
私たちが目指すのは、千年継続する企業です。保険は何世代も続く約束であり、会社としてその約束を守り続ける組織でありたいという思いがあるためです。そのために必要なのは爆発的成長ではなく、木が年輪を重ねて大木になるように一歩一歩成長していく持続的な成長であると考え、毎年120%の成長を積み重ねる目標を設定し、達成し続けています。
保険というのは、長い目で見たときに、目の前の方だけでなく、お子さんやお孫さんまで、多くの人を笑顔にすることができる素晴らしい商品です。社会に眠っている本当のニーズを拾い、それを一つひとつ解決していくことができたら、きっと世の中はもっと幸せになります。その取り組みの一つが、今力を入れているLGBT(セクシャルマイノリティ)の方々に向けた商品です。社会的な問題意識の低さから、今まではLGBTの方々向けの保険がほとんどなく、同性パートナーへの相続問題などをサポートする商品がありませんでした。多様性が問われる時代、そういう方々にも保険によって安心をお届けできる世の中にしていきたいと心から思っています。
千年という長い時間から考えれば、私が代表を務める間はまだまだ助走段階に過ぎません。その理想に向けて、理念を土台に着実な成長を作り出し、子どもの世代、孫の世代、そしてその更に先の世代までもが豊かに暮らせる社会を作り上げる活動に取り組んでまいります。歴史に名を刻む貢献ができるよう、これからも真心をこめて、活動を続けていきます。