Step1 経営者の自己変革
~医療に燃えた志と 孤独だった戦いの日々~
―理念経営の実現は、すべて経営者から始まる。いつどの時代も、有能なリーダーが有能な組織を作り上げると言われ続けていますが、その能力は決して先天的なものではありません。いまやクオリティー・カンパニーとして名を馳せる株式会社ブレイシングですが、ここまでの道のりにはどんなストーリーがあったのでしょうか。代表の栗山氏にお話を伺いました。
<受講歴>
- 2014年6月 スタンダードコース初受講
- 2014年8月 ダイナミックコース受講
- 2014年9月 ダイナミックアドバンスコース受講
- 2015年2月 ピークパフォーマンスコース受講
- 2015年10月~ 経営実践塾受講スタート
- 2016年1月 ベーシックプロスピーカー合格
- 2016年8月 ボースウィン・マネジメント・ベーシック受講
住吉に本院を構える株式会社ブレイシング。2006年の創業以来実績を伸ばし続け、2017年には7店舗目をオープン。本院の月商は約900万円、グループ年商は3億円を越える実績を作り出しながら、コンサルティング事業や講演活動・DVD教材開発をも手がけ、名実ともに業界を牽引している。今でこそ、モデル企業としての地位を不動のものにしているが、その道のりは決して順風満帆ではなかったと、代表の栗山氏は語る。
「もともと医療業界を志したのは、家族を病気で亡くした経験がきっかけでした」。くも膜下出血で兄が世を去ったのは栗山氏が中学生のとき。食道がんで父が亡くなったのは大学生のときだった。長い時間を共に過ごした家族だったが、消えていく命を前に、自分には何もできなかった。その無力感と悔しさで胸がいっぱいだった。
「何かが起こってからでは、失ってからではもう遅い。そう思って、事前に病気を食い止められる予防医療や東洋医療の世界に進むことを決めたのです」。
修行をし始めたのは日本一とも言われる鍼灸院だった。覚悟をしていたものの、そこで師匠と過ごした15年間の日々は、想像を絶するものだった。「毎日12時間以上働いてももらえる月給は5万円程度。その上、罵倒されたり、手を出されたりすることは日常茶飯事でした」。
それでも自らが掲げた志の実現のために奮闘を続けた。人間関係が険悪だったこともあり、その院は間もなくして閉院した。それをきっかけに、妻とともに独立をし二人三脚での経営をスタート。「相手が嫌がることはしない」と決意するものの、そんな思いとは裏腹に、採用したスタッフが一人また一人と辞めていったのだ。社員に映ったのは、栗山氏の心の奥に持つ思いやりではなく、15年間で染み付いた師匠の価値観だった。長い年月をかけて形成されたコミュニケーションスタイルを変えるのは簡単なことではない。技術には自信があった故に、売上は上がるものの、綱渡り状態の人間関係。そう頭を悩ませていた頃に出会ったのが『頂点への道』講座だった。
「受講を通して気がついたのは、良くなって欲しい思いが根底にありながら、自分の正しさを社員に押しつけていたということでした。コミュニケーションのスタンスを変える必要があると切実に感じたのです」。相手を変えようとするのではなく、願望を知り、支援的に関わること。その選択理論的な接し方を意識し始めた。『頂点への道』講座シリーズの活用が進むに連れて、講座での体験と現場がリンクし始めた。そして、日々の実践を通して、徐々にノウハウを体得していった。
Step2 幹部への理念浸透
~信頼から見出した使命、仲間を勝たせる院長へ~
―組織の理想と自分の理想を重ね合わせ、代表の代弁者と言える幹部を育成することは組織の発展上避けては通れません。ブレイシングでは、そんな幹部がどのようにして育ったのか、お話を伺いました。
「当初の代表は、自分と違う考え方をまったく受け入れてくれませんでしたね。謝るしかないくらいに詰問されることもよくありました」。そう話すのは統括マネジャーを務める平田氏。しかし今も当時も、代表の行動は患者様を思ってのことであるとも痛いくらいに分かっていた。人一倍勉強熱心で常に高みを目指して努力をし続ける代表のその背中に、プロフェッショナルとしてのカリスマ性を感じずにはいられなかった。
厳しさの裏にある、社員への確かな期待を知るにつれ、代表の愛情深さを感じるようになった。そして、代表の言うことなら信じて取り組んでみようとも思うようになっていったのだ。
「元々は、これと言った願望もなく、なんとなく人生を生きていました。しかし、代表に任された仕事に必死に取り組むにつれて、徐々に目指す方向性が見えてきたのです」。平田氏にとって、その方向性から見出された頑張る理由とは、仲間の存在だという。
「ダイナミックコース・ダイナミックアドバンスコースを受講していく中で、何度も何度も考えを巡らしました。そこで私が成果を出さなければならない理由、当時任されていた院を成功させなければならない理由が明確になったのです」。
それまで個人の売上を上げることは問題なくできていたものの、組織をマネジメントしていくとなると、何をしたら良いか分からなかった。そこにあったのは仲間への遠慮であり、嫌われないための優しさであった。「コースの中で、仲間や代表に対する感謝と、自分自身がどう生きていきたいのかを一晩中考えました。確かめるように感じたのは、やはり仲間が大好きだということです。そして、そんな大好きな仲間に自分はどんな院長として貢献したいのかを真剣に考え、たどり着いた一つの確信がありました。女性スタッフが多い院を担う院長として、結婚・出産をしても活躍し続けられる見通しを作ることが、今の自分に求められているミッションだということです。それには仕組みを整える必要があり、もっともっと売上を作っていく必要があります。代表から本院を引き継いでから急激に落ちた業績に自信をなくしていましたが、仲間のためにもう一度チャレンジしようと強く思えたのです」。
個人の人生の土台が確立したことで、会社の理念やビジョンを自分ごととして捉えられるようになったのだ。
実際に平田氏が院長を任されていた本院はその後、栗山代表が残した記録を塗り替え、過去最高月商を叩き出している。
Step3 スタッフへの浸透
~飛躍の原点は、上司への恩返し~
―組織が大きくなるほど、代表の影響力のみではなく、幹部の育成力が重要視される。主体性を持ち、成果を生み出せる部下をいかにして育成するのか、そのストーリーを伺いました。
平田氏が本院院長を担ったころのスタッフの一人が大野氏。新卒入社当時は何事にも受け身で、引っ張ってもらうスタンスだった。「当初は自分のことしか考えていなかったんです。しかし、遅刻をしても代表に呆れられても、側にはいつも平田マネジャーの存在がありました」。迷惑を被っても部下を信じて諦めずに育てることは、平田氏が栗山代表から受け継いだ部下愛だったのかもしれない。
「一番の転換点は、ボース・ウィン・マネジメント講座を受講したことでした。勝たせてもらうだけではなく、人を勝たせられる存在になりたいと思ったのです」。相手の立場に立つことを実践するにつれて気付いたのは、「当たり前」に隠れていた平田氏の大きな愛情だった。数え切れない支援に恩返ししていきたい、その熱い思いが行動を掻き立てた。研修で学んだことを誰よりも真剣に実践した結果、上司への貢献もさることながら、売上全社1位を達成するなど大野氏の実績も伸びていった。
上司や代表の視点を意識するようになってから、成果を出すことに加えて、組織の目指す方向性や価値観への理解が深まった。「治療家としての自分の理想を実現するために、成長の機会と活躍の場を与えてくれるこの会社に心からの感謝が生まれてきました。元々一流を目指して入社をしたのですが、必ず『この組織』でその夢を成し遂げようと決意できたのです」。大野氏にとって、他でもない組織との絆が、何よりの頑張る理由となった。今では部下のマネジメントをしながら、本院の副院長として実績を上げ続けている。その活躍は留まることを知らない。
念願だったクオリティ・カンパニーへ
『頂点への道』講座の受講から3年の月日が経ち、全社売上は153%成長し、週休2日を実現しつつ、社員給与は15%増。私と取締役である妻はプロスピーカー試験に合格し、今では全社員が『頂点への道』講座を受講しています。2015年からは理念浸透サーベイを実施し、組織の理念浸透度を客観視しながら、弱点を徹底改善していきました。翌年からは、組織向け研修のi‐Standardを導入。社員一人ひとりの声にならない思いがアウトプットされ、大切にしたい生き方やこの会社で成功すべき理由が言語化されました。結果、増収増益はもちろんですが、何より社員の関係性が本当に良くなりました。
離職が止まらなかったころ、その現象を作り出しているのは幹部だと思っていました。しかし本当の源は、他でもない私自身でした。私が変わったことで、幹部が変わっていきました。幹部が変わっていったことでスタッフが変わっていきました。今では臨床現場は、ほぼすべて社員に任せています。以前では考えられませんでした。一人ひとりの社員の頑張りで今の組織が成り立っています。まずは社内プロスピーカー10名を一つの目標に、更なる高みを目指して社員とともに挑戦をしていきます。
組織向け研修受講歴
- 2016年3月 i-Standard
- 2016年9月 i-Dynamic
- 2017年3月 ネクストリーダー研修
- 2017年3月 PDCFA研修
- 2017年6月 PDCFAフォロー研修
- 2017年9月 i-Standard(2回目)