「なんて俺はアホなんや」
3,500万円の損失と理詰めの指導が招いた離職
「絶対に成功してやる」。20歳のころ、私は『思考は現実化する』(ナポレオン・ヒル著)を読み、そう決意しました。当時は工場勤務で手取り12万円。友人との食事代すら事欠く生活でしたが、成功者500人の共通点がまとめられた同著に感化され、中古車販売業を興しました。しかし、無計画に興した事業は6か月で倒産。数年間、借金返済の生活を送りました。それでも『思考は現実化する』を指針に再起を決め、不動産会社に入社。当時最年少で店長に昇格しました。しかし、賃金をはじめ部下の働く環境に疑問を感じ、「ならば自分が良い会社をつくろう」とウエマチ不動産を設立しました。
創業後、売上は順調でしたが、私のマネジメントは「鬼」そのものでした。働く仲間の環境を改善したい一心で設立したはずが、理詰めの厳しい指導で部下を追い詰め、「一人前にしてほしい」と入社した若手を1年半で離職させてしまいました。同時期に、「人助けにも、本業のリスクヘッジにもなる」と信じて出資した事業がすべて潰れ、3,500万円の個人資産を損失。「なんて俺はアホなんや」。現実から逃げるように飲み歩き、妻から寝室を分けられる始末。そんなとき、社労士の先生から『頂点への道』講座を紹介され、資産喪失の翌月、初受講を決めました。
受講で向き合った人生の目的
「妻と社員を幸せにする」覚悟
2021年9月、34歳で迎えた初受講。正直、あまり期待していませんでした。ところが、10年以上指針にしてきた『思考は現実化する』の内容が体系化された講座に、「これや!」と深く腹落ち。浮き沈みの激しい人生を送ってきましたが、初日の夜には「この学びなら、成功の技術を体得できる」と確信を得ました。
特に衝撃を受けたのは、「人生の目的」から一貫して生きることの大切さです。今までは稼ぐという目標ばかりを追っていましたが、宿題や体験講座を通して、「誰のために、何のために、なぜ生きているのか」という目的に向き合いました。その時浮かんだのは、高校時代から支え続けてくれている妻の姿です。実は、3,500万円を失った際、妻は私に「大丈夫?」と声をかけてくれました。「大丈夫、また稼ぐわ」というと、「いやいや、メンタル大丈夫?無理しないで」と言ってくれたのです。お金ではなく私の心身の健康を真っ先に案じてくれた妻の強さと優しさに改めて気づき、約20年分の感謝が溢れたとき、「妻を絶対に幸せにする」と心に誓いました。
さらに仕事に思いを馳せると、創業時から苦楽をともにしてきた社員への感謝が湧きあがりました。「社員も絶対に幸せにする」。その覚悟が決まったとき、それまでは全く考えていなかった組織拡大を決心しました。社員一人ひとりの幸せに責任を持つなら組織拡大が不可欠だと確信したのです。妻、そして社員。大切な人への感謝が起点となり、「縁ある人の可能性と物心両面の幸福を追求する」という人生の目的が定まりました。
目的から一貫した採用と育成
選択理論心理学の実践で社員数6倍・売上10倍へ
組織拡大に向けてまず取り組んだのは、重要だが緊急ではない「第二象限」の時間の確保です。経理や法務などの実務は部下へ委任し「採用と育成」に注力しました。
育成の柱に据えたのは、選択理論心理学です。かつての私は、「部下の成長のためには厳しい指導が不可欠だ」と本気で信じていました。しかし、人は内発的動機によってのみ動くという原則を学び、「厳しくしなくていいんや」と衝撃を受けました。良かれと思って使っていた厳しい指導が、いかに部下の可能性を奪っていたかを痛感したからです。
これを機に、「外的コントロール」といわれる相手を変えようとする関わりを捨て、傾聴する・受容するといった態度を中心とした「身につけたい7つの習慣」を実践。さらに、完全週休2日制や目標達成の表彰制度の確立、誕生日会や社員旅行の開催など、社員の5つの基本的欲求を満たす仕組みづくりに取り組み続けました。その結果、人を大切にする組織文化が認められ、2023年には経済産業省後援の『はたらく人ファーストアワード2023』で上位3%にあたるブロンズ賞を受賞しました。
さらに、講座で明確になった企業理念やビジョンを社員に語り続けました。すると、働く環境が整うにつれて社員の共感が深まり、社員自らともに働く仲間として知人を紹介してくれるように。おかげで、社員数5名からのスタートでしたが、採用広告費ゼロのリファラル採用で、2年で16名の採用に成功。信頼関係が強まった組織の生産性は飛躍的に向上し、売上は10倍となる21億円を達成しました。
プライベートでも大きな変化がありました。講座で家族の大切さを実感し、忙しさを理由に後回しにしていた家族の時間を確保。妻の求めるものを大切にする関わりを続けた結果、夫婦の絆がさらに強まり、待望の次女を授かりました。この学びがなければ、出会えていなかった命です。この子たちが生きる未来をより良いものにしたい。この想いが一番の原動力になっています。
住まいを通じて
子どもたちが安心して暮らせる社会へ
不動産業界は今も外的コントロールが根強く残っています。しかし、それはかつての私のように、高業績と良好な人間関係を両立させる技術を知らないだけなのです。この学びを業界に普及することは、家庭での笑顔を増やし、子どもたちが健やかに育つ社会の実現につながると確信しています。
一方、昨年は他社からの引き抜きなどにより、ベテラン社員6名が退職。決して順風満帆なわけではありません。しかし、6名の退職も組織を進化させる学びの機会と捉え、評価制度の刷新など改善を積み重ねた結果、今期は過去最高売上を更新する見込みです。今後も、自らの成長を通して社会に貢献すべく挑戦を続けてまいります。












