「弁護士になってから勉強してないんじゃない?」
友人の一言から、半信半疑の受講
私は大学卒業後、1995年に監査法人トーマツ(当時)に入所しました。公認会計士として、上場企業の監査やM&Aの仕事にはやりがいがありましたが、どこかでもっとお客様に直接貢献したいという思いがありました。そんなとき、ある弁護士の先生が企業の経営陣と一丸となって仕事をされている姿に感動。私は約2年の猛勉強を経て弁護士資格を取得し、2009年、知人と南青山M's法律会計事務所を設立しました。「過払いバブル」の影響もあり、お陰様で順調に成長していきました。社員の離職や考え方の違いから、共同創業者とは別々の道を進むことになりましたが、2021年には事務所の売上が1億円を超え、世間からみれば上手くいっていると思われていたと思います。私も不満があったわけではありません。しかし売上には波があり、成果報酬型の仕事だから上手くいけば儲かるが、運が悪ければ儲からないと、どこか運任せのような感覚。停滞感やどこかパワーが出ないと感じていました。
そんなときに経営者仲間に紹介されたのが『頂点への道』講座です。正直あまり乗り気ではありませんでしたが、「弁護士になってから勉強してないんじゃない?」という一言と、誘ってくれた経営者仲間の変化をみて、もしかしたら何かヒントがあるかもしれないと受講を決めました。
人生の転機となった「セルフカウンセリング」
初日、後方の席に座っていましたが、いつの間にかのめり込むように講義を聞いていました。講師の青木先生の「人は変えられない」「相手を責めたり批判したりするコミュニケーション、外的コントロールには一切効果が無く、それは人の不幸感をつくりだしている」という講義は、共同創業者との別れ・社員の離職・トラブルなど、ここまでの人生で私が苦労をしながら学んだことを、すべて教えていただいたように思えたからです。そして、以前の社員に怒鳴ったり論破したりする関わりが、全く効果的ではないと腑に落ちました。
さらに大きな気づきとなったのは「セルフカウンセリング」です。セルフカウンセリングとは、「私は何を求めているのか? その為に今何をしているのか? その行動は私の求めているものを手に入れるのに効果的か? もっと良い方法を考え出し、実行してみよう」と自らに問いかけることで願望が明確になり、より効果的な選択ができるという考え方です。そして仕事のみならず、健康面・人間関係面・仕事面・経済面・趣味、教養面と5つの分野で願望を明確にすることで幸せな人生を手にすることができると教わりました。
これまでは仕事一筋。仕事のなかに人生があると考えていた私にとって、人生のなかに仕事があるとの教えは衝撃でしたが、なぜ自分がエネルギーが沸かないと感じていたのか分かったような気がしました。
セルフカウンセリングを実践し
プライベートの充実度・売上が向上
さらに講座では、質問の主語を大切な人に変えて実践してくださいと言われ、早速夜に妻の願望を聞いてみました。すると彼女は、涙ながらに答えてくれました。私は驚きながらも、3時間は話したでしょうか。そしてこれまで、妻の話を聞き流し向き合うことから逃げてきたことを反省しました。私が求めていることは、仕事で卓越することはもちろん、健康で家族と幸せに過ごすことです。そこで取り組んだのは、禁酒です。毎日二日酔いになるまで飲んでいたお酒を断ち、家族と過ごす時間に変えました。実は娘が不登校だったのですが、妻とともに選択理論を学び、家庭のなかに安心・安全な空間をつくることを意識。結果、1年半の不登校を経て6年生の2学期から学校に通い、今年の3月に無事小学校を卒業しました。私の体重も10キロ減量して健康的になり、充実感を感じる毎日です。
ビジネスでも、お客様が抱えている根本的な問題は何か。本当はどうしたいのか。傾聴し、寄り添いました。するとお客様から「なんでそんなに分かってくれたのですか」と言っていただけるようになり、メジャーリーガーのような世界で活躍されている方々からも支持されるようになりました。
社員に対しても、社員が求めていることは何か? を考えて関わっていきました。少しずつではありますが、社内に安心・安全の空気がつくられ、なんでも話せるような関係性を築くことができるようになりました。結果、一人あたりの生産性が高まり、売上は1.3億円から2.3億円へと1.7倍の成長を遂げることができました。
「解決」できる弁護士を社会に増やす
弁護士は、勝つことが仕事です。以前の私も、クライアントの「勝ち」を求め、相手を論破していました。そしてその関わり方を、家庭や社内でも使ってしまっていました。今ではこの関わり方がいかに効果が無かったのか、よくわかります。
あるとき、離婚の調停をする調停委員が「弁護士に頼むともっと揉める」と言うのを聞きました。当事者はもともと夫婦・親子という関係で、以前は愛し合っていた。それがお金をつかって弁護士を雇うと、勝ち負けになり、勝った後の人間関係は考慮されないのだと。クライアントが本当に求めていることは、目先の「勝訴」ではなく「解決」です。そしてそれには、弁護士が選択理論に基づきクライアントの願望を聞き、どうすれば円満解決することができるかを導くことが欠かせません。
私はJPSAの仲間とともに弁護士部会を立ち上げ、選択理論やアチーブメントテクノロジーを実践できる弁護士を増やし、さらに業界へ貢献してまいります。