「九州産」にこだわり、「博多料理」に特化した飲食店を、福岡市内を中心に現在6店舗経営しています。創業時がバブル期ということもあり売上はすぐに向上していき、その後も店舗数の増減がありつつも、着実に成長を重ね、2005年には売り上げが最高になりました。しかし、リーマンショックを契機に売上が一気に低迷。資金繰りに苦しみ、2012年の年末には先々の支払いの見通しがまったくない状態になってしまったのです。そんな緊迫した状況の中、知人の紹介で出逢ったのがアチーブメントでした。青木社長の講演会に参加して、今の自分に足りないことは、「日々の具体的な行動管理」だと認識することができました。把握した課題の具体的な解決策、さらなる行動管理技術を求めてスタンダードコースを受講したのです。
成功者としての習慣形成による全国トップ0・4%入り
スタンダードコースの中で特に響いたのが、「成功者としての習慣形成」です。それまでも『経営理念』は持っており、「経営計画書」も策定しておりましたが、理念に基づいた日々の具体的な行動の計画は全くといっていいほど決めていませんでした。そこで当時の日々の行動を分類したところ、「緊急で重要な第一象限」の次に取り組むことが「緊急で重要でない第三象限」という流れとなっており、成功者の習慣形成に最も重要な、「緊急でないが重要である第二象限」はほとんど確保できていませんでした。そこで、自分にとっての第二象限をピックアップ。出てきた「理念浸透」「人材育成」「マーケティング」「メニュー開発」といった部分に注力するため、朝と夜にそれぞれ1時間ずつ、手帳を用いたセルフカウンセリング、計画化、自己評価の時間を確保し、長期的な行動計画から逆算された、一日の行動計画を具体的に実行していきました。
さらに再受講を繰り返す中で明確になっていったのが、まずは生ビールで日本一を獲るという思い。「美味しさと美しさに徹底的にこだわり究極の状態でお客様にご提供すること」を第一に、「世界最高峰の生ビール」を創ると決意しました。保管方法、注ぎ方など多くの具体的な指針を定めて実践していった結果、サントリーが定める全国でプレミアムモルツを提供する飲食店で行った5万件から高い基準をクリアした約220件の上位0・4%にしか与えられていない『超達人店』の称号を獲得しました。現在は、独自の社内基準を8個項目追加し、「超達人店の中の頂点」を目指しています。
トップの変化が組織の変化を生み出す
またさらに大きく変化していったのが、選択理論心理学を用いた約120名のスタッフとの関わりです。これまでの私は、父親との関係、中学・高校での体験、大学時代のアルバイト、社会人としての営業職の経験など、選択理論の「致命的な7つの習慣」を受け続けてきた人生でした。したがって、自分もそれを使うことは当然で、スタッフに対しては叱責を飛ばし、高い給料でモチベーションをコントロールしていましたし、実際にできると思っていたのです。しかし、受講を通して真逆のアプローチである選択理論を学び、さらにダイナミックコースやアドバンスコースを受講する中で、徐々にパラダイムシフトが起きていきました。現場に戻ってからは、「致命的な7つの習慣」ではない「身に着けたい7つの習慣」を実践。もちろん習慣をすぐに変えることは容易ではなく、当初は、スキルに走った表面的な内的コントロールの関わりだったかもしれませんが、繰り返すことで、当たり前のものとして習慣化されていきました。
さらにスタッフとの関わりの技術をより高めたきっかけが『頂点への道』講座のアシスタント経験です。アシスタントというのは、初対面の受講生の方々の学びをサポートする存在。本人の願望に寄り添い、決して押しつけではない内発的な行動変容をいかに促すかが問われています。願望実現に最適ではない行為や思考に対しては、気づきを促すために時には踏み込んでフィードバックすることも求められるといったような、高い責任と技術が要求されます。福岡で開催されるスタンダードコースは、連続で毎回アシスタントに入り続けていますが、回数を重ねることで徐々にそうした関わりが可能になっていきました。この経験が現場にはそのまま反映され、スタッフに対しても、傾聴を重ねることで本人の求める上質世界や願望に寄り添いながら、その実現のための情報を与えていくスタンスに大きく変化していきました。時には、スタッフが提供する料理やサービスに対して、「これは君が求めている基準からして最適な行動か」という自己評価を促すような踏み込んだ問いかけを行っています。かつて重視していたのは、会社の数字ばかりでしたが、今では本人たちの達成感・充実感が心から重要だと声を大きくして言えるように変化していきました。
こうした自分の行動変容によって、幹部にも、部下に対する関わり方が変化するという連鎖が起き、店舗のチームワークが強固になっていきました。また、社員との具体的な理念浸透の時間も確保。優先的に時間を取ったのが、店舗スタッフとの食事の時間です。具体的には90分を1日2回確保し、経営理念や食材のこだわりを伝える時間をとりました。結果、私の伝えた内容を、スタッフがそのまま会社と商品への高い自信として、お客様に伝達するようになり、顧客満足度が向上していったのです。
幹部スタッフへの私のコミュニケーションが選択理論に基づくものへ変化したことで、現場の判断基準となる理念・ビジョンが浸透していきました。また、これまで指示・報告型だった会議も、準備・思考型へと変化。その結果赤字対策が黒字になり、顧客数は30%増加。売上は前年比119%~144%を超える店舗が出るなど、会社も約10年ぶりに黒字を記録することができたのです。さらにアルバイトスタッフの求人の口コミが起き、求人の募集が殺到するようになっています。
2015年にはプロスピーカーにも合格しました。シニアプロスピーカーを目指し、自らの体験を多くの企業に伝えていきます。組織で成果を出すためには、選択理論に基づき、日々理念浸透を継続していく必要があります。これからもスタッフの夢と会社の夢の実現が一致する幸福創造カンパニーを目指してさらに邁進いたします。