成果は残るが孤独だった日々
アチーブメント社に出会ったのは初受講の随分前のことです。知り合いの福岡の別府先生に紹介をいただいたのですが、しばらくは興味を持ちませんでした。
歯科医院を開業して今年で30周年を迎えます。28歳のときに出会った『成功哲学』に刺激を受け、これまで能力開発や自己啓発の書籍を300冊以上読み漁って来ました。組織も100名を超えており、業界でそれなりに実績を出しているという自負もありました。成果を出す話なら大概は学んでいるからなと、そんな気持ちで受けに行ったスタンダードコースですが、いざ受講をすると、これまで学んだことのない概念が多くあり、衝撃をうけました。
一番は「目的」の考え方です。これまで「いかに目標を達成するか」「いかに成果を出すか」「いかに日本一になるか」といったノウハウを山程勉強してきました。目標達成は努力すれば誰でもできると思っていたのですが、現場ではそううまく行っておらず、どうしたら部下を達成させられるかを考えていました。しかし、モチベーションの土台となる「目的」を気にしたことがありませんでした。そこで、新しい成長を求めて、学び続けようと思ったのです。
受講を通して気がついた本当の課題
講座内では、自分自身の人生を深く振り返り、「成功しなければならない理由」を考える機会があります。自分とはどんな人間なのか、どんな院長なのか、改めてゆっくりと考えてみたのです。歯科医として社会に出た当初、日本一の技術を求めて憧れの医院で無給で働き修行を積みました。その間ずっと支えてくれていたのは両親でした。決して裕福な家庭ではなかったものの、学費に加え、無給でも夢を追いかけたいという私の望みを全力で支援してくれたのです。そのころから絶対に成功して親孝行するということが人生の目的でした。しかし、よく考えてみると、スタッフや周囲の人間の存在を忘れていたのです。「お前のせいで患者は二度と来なくなるぞ」、「その脳みそ、使わないと腐るぞ」。平気でそんな言葉を発していました。何より私がそう言われて育った一人だったので、刺激で部下をマネジメントしようとしたり、自分が正しいと思うことを部下に押し付けたりする「外的コントロール」が当たり前で、良いことだと思っていたのです。しかし、人はコントロールできないということを提唱した「選択理論心理学」を学んで、これまでの行動がいかに他人を傷つけていたのかを知ったのです。思えば、成果は確かに出してきましたが、周囲に気を許せる人はなかなかいませんでした。税理士に大金を騙し取られたことも、人間関係のトラブルで部下が離職したこともありました。そのたびに相手と自分を責めることを繰り返していたのですが、いけないのは「外的コントロール」を使い続けて周りを敵に回していたことだと知ったのです。
「外的コントロール」を捨てる再受講で決まった覚悟
そう学んで現場に戻るものの、これまでの習慣を変えることは簡単ではありません。分かっていても実行出来ないのです。どうしたら良いかと受講生仲間に聞くと、答えはいつも「継続学習」という言葉。ならば推奨される3年6回の再受講をすると決めて取り組みました。再受講はある意味で噛めば噛むほど味が出るスルメイカのようで、同じ講座なのに、その時の課題に合わせていつも新しい気付きがあります。特に自分と向き合うホームワークで「人生の目的は何か」を毎度考えさせられては、ブラッシュアップされていきます。納得行く生き方とは何かと、幾度となく自問自答し、思いついては練り直しを繰り返し、手にした答えは「部下を成功させられる院長」でした。私自身、過酷な環境で成果を掴み取ってきた経験があったので、成功する力は誰もが持っているもので、努力をすれば掴めると思っています。だからこそついてきてくれる部下にはぜひとも成功してもらいたい、彼らに内在する力を引き出せるかが私のマネジメントの質にかかっていると腑に落ちたのです。「外的コントロール」は確かに短期的に見れば効果性があります。しかし長期的な視点に立ったときに、恐れや不安を生むので、彼らの可能性にフタをしてしまうことになりかねないのです。それは私が求めるマネジメント像ではないと、心から思いました。選択理論的なマネジメントをする一番の土台は、リーダーがメンバーの信頼する存在であることですので、まずは良好な関係性を作る努力をしました。全社員の写真を部屋に貼り、全員を意識するようにし、飲み会や懇親会や面談の時間を増やしました。一人ひとりに関心を持って、話を聞き、我が子のように接することを心がけてきました。すると徐々に組織に変化が生まれ、私の立場に立ってくれる社員が増えていったのです。非常に嬉しい変化でした。当初目立っていた離職も、今では寿退社といった喜ばしい理由以外はなくなりました。お互いの可能性を信じて、高い成果を目指して支援しあえる組織にできるよう努力し続けています。
業界の発展を担い社会を変革するリーダーへ
振り返れば、外的コントロールマスターとも言える私が変わることが出来ました。これは決して特別ではなく、継続学習によって成し遂げられたことだと思います。次の使命は、歯科業界から、そして社会から外的コントロールを排除することです。そのほうが、更に人が育ち、歯科業界が、社会が豊かになります。そして、外的コントロールによって傷つく人が減っていくのです。
2018年12月には、プロスピーカー試験にも合格しました。今後は選択理論とアチーブメントテクノロジーを伝えるメッセンジャーとして、成果を残すのはもちろん、「ビジネスのサクセス・プラベートのハピネス」を得る生き方を一人でも多くの方にお伝えし続けていきます。