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顧問先を7倍に増やした「双方勝利」の職業観

喜多 英博喜多法律事務所 代表弁護士
業種法律事務所
拠点神奈川県
課題
クライアントが抱く恨みや妬みなどの感情をどのように対処してよいのかがわからず、裁判に勝っても必ずしも満足していただけなかった。
多忙から出勤・帰宅ともに遅い生活が習慣となる。家族とも、まともに顔を合わせない日々が続いていた。
効果
自分自身のパフォーマンスが最大化される状態を発見し、クライアントの本音を引き出せるようになった。
「裁判に勝つことではなく、クライアントの願望にある『幸せ』を手に入れる手伝いをする」という職業観で仕事をした結果、クライアントの満足度が大幅に上がり、顧問先が7倍に増えた。
問題が起こってからの対応ではなく、事前対応の仕組みを顧問先に提供することで労働時間が減り、家族との時間がしっかり確保できるようになった。

相手に勝つことが全ての職業観

子どもの頃から両親の大きな愛情のもとで生まれ育った私は、勉強からスポーツまで様々なことにチャレンジをさせていただきました。「やるのであれば、とことんやる」という考え方が身についたのは、その賜物だったと思います。
弁護士の資格を取得するために人一倍努力をしたので、弁護士としての職業にも裁判に勝つことにも、自信がありました。そうして始まった私の弁護士としてのキャリアですが、華やかな期待とは裏腹に、時間の経過とともに、どこかモヤモヤした感情が溜まっていきました。
我々弁護士がご相談をいただく内容は、人間関係のトラブルが非常に多いです。裁判に勝つことにしか興味がなかった私は、クライアントが抱くその恨みや妬みなどの感情をどのように対処してよいのかがわかりませんでした。裁判に勝っても、必ずしも満足していただけるとは限らず、「こんなにも一生懸命やっているのになぜなのか」と葛藤する毎日でした。思い描いた弁護士像とはかけ離れ、加えて労働時間にも規制がないので、出勤・帰宅ともに遅い生活が習慣となっていました。結婚し、子どもが生まれても、まともに顔を合わせることができません。仕事も家庭もストレスの連続で、「こんなはずじゃなかった」と嘆くうちに、気が付くと弁護士になって15年の歳月が過ぎていました。
ストレスから解放され、理想の弁護士像へ近づくために情報を探し求める中、知人から紹介をいただいたのがアチーブメントの講座でした。

裁判での勝利は一つの手段に過ぎなかった

スタンダードコースの受講を通して、弁護士という職業の目的を深く考えさせられました。「裁判に勝つことが弁護士の仕事」と、ずっとその価値観で働いてきた私でしたが、「人はみな幸せになるために生まれてきた」という青木社長の言葉が深く胸に刺さりました。「クライアントが求めるのは、裁判での勝利ではなく、幸せになることである」この気付きが私の職業観を変えるきっかけでした。
受講後にまず意識したのは、問題の内容のみならず、クライアントの願望まで深くヒアリングすることでした。何をもって幸せなのかという価値観は、一人ひとり違います。裁判に勝つ材料集めでしかなかったヒアリングの時間は、クライアントの望みや悩みに親身に向き合う時間へと変わりました。 しかし、それでも思うように上手く行きません。無意識に自分の価値観を相手に押し付けてしまっていました。白か黒かで生きてきた私にとって、人を裁かず接するように、気持ちを入れ替えるのは簡単なことではありませんでした。
その考え方の変化を加速させたのが、上位講座のダイナミックアドバンスコースの受講です。これは体験型ワークを通して、自分自身のパフォーマンスが最大化される状態を発見する研修。私の場合は「家族のことを考えているとき」でした。家族に対する愛情がこんなにも深く、家族の存在がこんなにも大きいのだと気が付きました。
同じことを仕事で実践しました。「相手が家族だったとしたら?」その意識で接するようにしてみたところ、自然と裁かずに傾聴が出来るようになりました。幸せを願う気持ちが伝わったのか、クライアントが心の内の本音を素直に話してくれるようになり、相手が持つ本当の願望を知ることが出来るようになっていったのです。

問題解決の質が評価され、顧問先が7倍に

「裁判に勝つことではなく、クライアントの願望にある『幸せ』を手に入れるお手伝いをする」この職業観が腑に落ちてから、案件に対する対処も変わりました。
一般的に弁護士の採る法的措置とは、相手を脅して操作しようという「外的コントロール」そのものです。裁判には勝てたとしても、クライアントと裁判をした相手との人間関係が破壊されてしまうことがあります。
私は選択理論の学びを活かして、表面的な「勝ち負け」ではなく、問題の根本原因を解決することに焦点を当てました。つまり、クライアントと相手方それぞれが持つ「5つの基本的欲求」を満たす手段を採るということです。
例えば、新築のマイホームが、隣家で設置された排水パイプによってひどく浸水した案件がありました。クライアントは憤怒し、「必ず戦って勝ってください」と何度も言われました。受講前の私でしたら迷わず裁判を起こしましたが、この時は違いました。話をしっかり聞いてみると、クライアントが求めていたのは勝つことではなく、家族が幸せに過ごすこと。そのためには、隣家との良好な人間関係が大切です。裁判を起こせば、隣家との関係が崩れ、何かの反発でまだ小さい子どもや妻に被害が及ぶかもしれません。そこで、すぐに裁判ではなく、まずは交渉を通して問題解決が出来ないか試みたのです。その際にも、選択理論で提唱されている「身につけたい7つの習慣」を意識して関わります。こちらの「正しさ」を押し付けずに、相手の立場に立ち、トラブルが起こっていることへの不安や焦り・怒りに理解を示し、円満な解決を望んでいることを伝えます。その上で幾つか選択肢を提示し、「いかがなされますか?」と客観的事実を元に交渉をしていきます。結果としてこのケースは、隣家が排水パイプを撤去してくれる事に同意いただいて解決に至りました。クライアントにとって、時間も費用も大幅に削減出来ました。

事前対応×双方勝利に生きる人を増やす

このように対応を変えていったことで、クライアントの満足度が大幅に上がり、ご紹介を多くいただけるようになりました。その結果として、受講前と比べて顧問先が7倍に増えていったのです。一見するとかなり仕事量が増えたようですが、むしろ以前より余裕があり、家族との時間もしっかり確保できています。それは、問題が起こってからの対応ではなく、人間関係を良好に保つ事前対応の仕組みを顧問先に提供しており、緊急トラブルが起こらないためです。弁護士は、紛争現場の最前線を担う仕事です。だからこそ、選択理論を活用した良好な人間関係と双方勝利の価値観が、強く求められていると考えています。
我々弁護士がその価値観を持つことで、トラブルに苦しむ多くの方の人生を幸せに導くことが出来ると考えています。
今後は、自分が直接発信することはもちろん、自分と同じ価値観を持つ弁護士の輩出を通じて、より社会に貢献していけるよう活動の幅を広げていきます。

プロフィール
1973年福岡県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。大学卒業の年に弁護士資格を得る。30歳のときには、昭和46年の最高裁判決以来の裁判例を覆す画期的な判決を次々と獲得。マスコミにも大きく取り上げられ、新たな法律の制定に多大な影響を与えた。現在では、弁護士としての本業のみならず、講演家や著者としても活躍の幅を広げている。
お子様とも豊かなコミュニケーションを育んでいる
過去の裁判例を覆した判決でメディアから注目される
講演家としても人気を集め、活躍の幅を広げている

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