素質に依存しない 一流を育てる方程式|アチーブメント株式会社

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真の指導者は、志を育てる教育者たれ

素質に依存しない 一流を育てる方程式

現役時代は東京ヤクルトスワローズのエースとして、チームの実績向上に大きく貢献し、その後も監督・コーチとして数々の球団を日本一に導いてきた尾花氏。現在は明桜高等学校にて野球部総監督として指導を担当。技術のみならず、考え方を含めた人間教育に取り組んでおられます。選手の素質に依存せず、一人ひとりが持つ可能性を引き出す育成が高く評価され、数々の有力選手を輩出してこられました。尾花氏に「自ら成長する選手をいかに育てるか」を問いました。

尾花 高夫

尾花 高夫

明桜高等学校野球部 総監督兼投手コーチ

1957年生まれ。PL学園高等学校から社会人野球の新日鐵堺へ進む。1977年度ドラフト4位でヤクルトスワローズに入団。1991年まで在籍し同年現役を引退。1995年以降、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、福岡ダイエーホークス(のちのソフトバンク)、読売ジャイアンツでリーグ優勝7回、日本一に4回導いた手腕から、2010年〜2011年は横浜ベイスターズ監督に就任、自身初の指揮官を務める。2013年より読売ジャイアンツ二軍、投手総合コーチに就任。投手を育成し読売ジャイアンツのリーグ優勝に貢献し、その実績が評価され、2016年に読売ジャイアンツ一軍投手コーチに就任、2018年より読売ジャイアンツ編成本部アドバイザーに就任。現在は、明桜高等学校野球部の総監督兼投手コーチとして活動している。 

選手が自由に発信できる安心感を育む

マネジメントや育成で、私が一番注意しているのは、選手の心に恐れを根付かせないことです。恐れは行動を抑止し、主体性を損ねます。良いことはありません。まずは選手との関係で、恐れをいかに排除できるかが、指導者に問われる第一課題だと思います。
しかし、かく言う私もかつては恐れを使ってマネジメントしていました。転換点は、アチーブメント社の『頂点への道』講座で、選択理論心理学と出会ったこと。外部からの刺激では相手をコントロールできないと学びました。無理にコントロールしようとすれば、選手との信頼関係は崩れていきます。短期的には、望む行動をとっても、長期的には人間関係を破壊し、チームワークも思いやりも、すべてを犠牲にしてしまいます。もし、選択理論心理学を応用したマネジメントがスポーツ業界の常識になったとしたら一体どれだけの選手が救われるのだろうか思うと、居ても立ってもいられず、自分がその先駆者になろうと心に決めたのです。そこで、2012年に一軍コーチのオファーを3球団断り、あえて二軍コーチを選んで選手の指導に専念しました。なぜなら、一軍よりも二軍の選手のほうが、経験が浅く、技術習得も不十分で、その分指導者の手腕次第での伸びしろが大きいと思ったからです。選択理論心理学がどこまで通用するのか、どこまで彼らの可能性を引き出せるかにチャレンジしました。まず取り組んだのは、評価せず選手の話を聞くことです。「安心で、好きなことを話して良い」という風土を作るためです。少し時間は掛かりましたが、選手たちの発言が徐々に増え、チームに活気が生まれていきました。指導者として選手に指導する前に、この関係性を築けていることが何より重要だと私は思います。

「素質」よりも重要なのは「考え方」と「行動」

具体的な指導のフェーズに入ると、多くの方は「素質」を重視しがちです。プロ野球業界でも、高い素質を持つ選手が活躍すると思われがちですが、実際に素質があると言えるのはドラフト1位指名されるような選手たちくらいです。彼らが数年後にエースとして活躍しているかというと、そうではないのです。では活躍する人とそうでない人の違いはどこにあるのか、それは本人の「行動」と「考え方」です。
「仕事の質=素質×考え方×行動」。この方程式を私はずっと選手に伝え続けてきました。成果に向かう考え方と、具体的な行動をとっているかどうかです。そして、このレベルは、選手の願望によって強化されます。願望が明確であるほど、叶えようというエネルギーが強くなり、実行力がつき、改善を繰り返して成果を出していくのです。だからこそ、いかに選手たちの素直な願望を育めるかが勝負なのです。

選手の願望は指導者の質問によって強化される

勘違いをしてはいけないのは、何を望むかは本人次第です。強制はできません。しかし、効果的な質問を投げ続けることで、明確にしていく手伝いはできます。「一軍に上がりたいのか、一軍で投げたいのか、一軍で何勝したいのか」など、本人に気づきを与えてあげるイメージで問いかけることです。時としてそれが選手の人生の転換点になることもあります。
具体的なスキルとして、私は拡大質問と未来質問と肯定質問という3つの手法を大切にしていきました。拡大質問とは、いわゆるオープンな質問です。はい、いいえの二択ではなく、本人に考えてもらう質問のことです。自由に話してもらいながら、自分で思考する癖をつけてもらうのはとても大切なことです。未来質問とは、これまでどうだったのかではなく、これからどうしたいのかを問う質問です。肯定質問とは、なんでやらなかったのかではなく、どうしたらできるのかと問う質問です。ずっと過去を否定的に問われ続けていたら、誰でも嫌になりますよね。ですが、どうしたらできるのかに思考を向ければ、落ち込んでいたとしても自然と前向きになっていきます。選手たちは指導者の問いかけ方一つで変わっていくのです。
例えば、私が今の指導の対象としているのは高校生です。みんな「甲子園に行きたい」という熱い思いを持っています。私は、それをどうしたら実現できるのか選手たちに考えてもらい、自ら行動を変えていくサポートをしています。技術の指導以外でも、信念を持つことの大切さや、目標を達成するための考え方をたくさん伝えています。技術は確かに重要です。しかし、技術指導が本当に活きるのは、考える力と行動する力が育ってからなのです。

指導者が誰よりも選手を信じ続ける

そして、最後はやはり指導者が選手以上に選手の成功を信じ切っているかどうかだと思います。私自身、1977年からプロ野球の世界に入り、おかげさまでエースとしてプレイをしてきました。しかし、素質があったかというと、そうではありません。貧しい家庭に育った私の憧れは、お金持ちになりたいということでした。貧乏は嫌だ、お金持ちになって親孝行したいと、人一倍強く思っていたのです。プロ野球選手を目指したのも好きや得意だったわけではなく、お金持ちになるために効果的な手段だと思ったからです。中学を卒業し、無名の球児でPL学園に入り、エースナンバーをもらうも実質的なエースは後輩。プロになりたいと言っても、周りから無理だと言われ続けました。でも諦めはしませんでした。自分の取り柄は努力することだと、それ以外に道はないと思い、とにかく練習をし続けました。そして、「全員帰ったあとでも走り続けるやつがいる」と見つけてもらい、スカウトいただいたのがプロ入りのきっかけだったのです。
ところが、念願のプロ入りをするものの、周りのレベルの高さについていけないと、3日で挫折しました。それでも、とにかく食らいついていった先に、コントロールだったら勝負できると気がつき、武器として磨き、100勝以上積み上げられたのです。
「プロで成功したい」そんな強い思いを持ち続けて行動した結果、素質がない自分でも活躍することができました。だからこそ、どんな選手でも一流になれると信じています。この指導者としてのスタンスを一人でも多くの方にお伝えすべく、現在は野球の指導とともに、一般財団法人日本プロスピーカー協会の一員としても活動をしています。各地を講演活動で回り、私の指導法の原点である選択理論をベースにしたマネジメントの価値を届けています。
人の可能性は、心の底から信じれば必ず開花します。選手・部下・メンバーを信じ続けられることこそが、指導者の条件だと私は思っています。

考え方を自身の経験から噛み砕いて伝えている。

考え方を自身の経験から噛み砕いて伝えている。

▼出版記念講演会を各地開催中

部下がみるみる成果をつくりだす一流を育てる方程式
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